斉藤一典さん of 大阪達徳会



京阪神で頑張っている豊岡高校卒業生たちの集い

プロフィール

㈱セクタエンジニアリング 代表
斉藤 一典さん(高27期)

豊岡南中学出身。大阪工業大学工学部土木学科卒。中堅ゼネコン2社を経て、昭和62年10月独立。個人営業を開始し、平成10年7月有限会社セクタエンジニアリング設立。平成25年7月株式会社に改組。大阪、近畿一円で土木スペシャリストとして、測量、設計、積算、施工管理までトータルに行う。趣味は、野球観戦(阪神タイガースファン)、バイクツーリングとゴルフ。
http://sector-eng.co.jp/index.html



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土木コンサルタント企業として成長。
ボトムアップ型で社員やる気をアップさせ、公平に評価。


31歳で独立。地道に、コツコツ、真面目に頑張る


━━━斉藤さんが代表を務められているセクタエンジニアリングは、どんな会社ですか?

  •  一言でいえば、測量、設計、積算、施工管理までトータルに行う土木コンサルタント会社ですが、メインは、設計、積算、施工管理の3つです。

━━━そもそも土木の道を選ばれた動機は?

  • 親父が建築士をしていまして、大学進学時、建築か土木かどちらに行こうかと考えました。当時、建築ってビルだけのイメージしかなかった。ビルを建ててその中にすべて集約する。ところが土木は、山を切り崩して、土地をつくって、水路をつくって、道路をつくって。そういう広大なイメージがあり、そちらの方がいいかなと思って。

━━━大学卒業後は、どうされたのですか?

  •  地元の兵庫県にあるゼネコンに入りました。県下で2番目に大きなゼネコンだったのですが、事業を拡張し過ぎて倒産しまして、大阪のゼネコンに転職しました。

━━━それは大変ですね。でもこの時代にキャリアをしっかり積んだわけですね。

  •  幸い、そこでは早くから仕事を任せてもらい、あるときスタッフを4人つけてもらい、600mの機械推進、河川改修など、4つの現場を同時に任されました。これを何とか完成させ、予算的にも良かったようです。するとボーナスも給料も先輩方を飛び越えてしまったのです。普通なら他の社員には分からないはずなのに、どこかで洩れた。以後、周囲から皮肉を言われてだんだん嫌になり、独立を決意しました。数々の現場をこなして、ある程度こなせる自信もありましたので。

━━━それは何歳の時ですか?

  •  31歳でした。

━━━その後は、順調に事業を伸ばしてこられたわけですね。

  • 地道に、コツコツ、真面目に。これが元請けさんの我が社の評価ですが、こんな感じで頑張ってきました。幸いここまで順調にきましたが、土木業界全体を取り巻く環境は甘くない。それどころかとても厳しい。公共事業の縮小にはじまり、東北大震災後は、関東から東北に公共事業のウエイトがかかり、近畿エリアは減る一方です。ですから、わが社の場合、土木設計は近畿エリアですが、積算、施工管理は、オールジャパン。すべてのエリアが対象です。

土木の仕事は大変だが、地球を作り替える醍醐味がある


━━━土木と建築の人は、それぞれタイプってありますか?

  •  僕が最初にゼネコンに入ったとき、明らかにありましたね。土木は豪放磊落みたいな。酒飲みばっかりで。建築は、こぎれいに、こまめにというタイプが多かったように思います。だから寮で新入社員の飲み会があるのですが、残るのは土木。建築はいつのまにかいなくなる(笑)

━━━土木の仕事の難しさって何ですか?

  •  建築に比べて土木は工事区域が広い工事も多いため、管理するのは大変だと思うんです。建築は、左官やタイルなどの業種に分かれていて、専門職、専門家の手に委ねるところが多く、かなりな部分任せることが出来ると感じていました。でも土木は、地面相手の仕事ですから管理は多くなりますね。

━━━逆に、土木の仕事の魅力は?

  • 地球を作り替えるみたいな部分がありますね。ヘルメットを被って、地表面のある地域、部分を改造する。建築はそこまでキャパが大きくないですから。

━━━最近、ジャンクションやダムに興味をもつ素人の土木マニアが増えています。スケールの大きさや美しさに惹かれるのでしょうね。

  •  あ、そうなんですか。それは嬉しいけど、「わ、大きいね」「すごいね」で終わってしまう。そこに、悪戦苦闘し、涙して眠れない日を過ごした我々の思いが詰まっていることは分かってもらえないでしょうね(笑)。

━━━土木への理解が深まると、分かってもらえる日がくるかもしれませんよ(笑)

■技術者のプライドを大切にし、仕事は大胆に権限委譲


━━━いま社員数は?

  • 16名のまだまだ小さな会社です。こんなご時世ですから、そのうち、1名は東北、3名は関東の現場で仕事をしています。

━━━技術者集団の会社ですから、社長としてはやはり優秀な人材を集めたい?

  •  その通りですが、いまの若い人は、「寄らば大樹」なんで、会社の規模で就職を決める方が多いので、新卒で入って来たのは一人だけ。あとは中途採用です。

━━━中途採用者がこの会社に求めるものは?

  •  やりがいですかね。大手さんの場合は大き過ぎて、自分がコマになってしまうという事もあるかもしれませんから。

━━━なるほど。

  •  でもわが社にくれば一から十までお願いする。というか人数の関係上、お願いせざるを得ない(笑)。だから仕事が入ったら任せる。見積も含めて社員に任せています。また、各部門での問題や提案も、それぞれの部門で話し合ってまとまったものを上げてもらうようにしています。

━━━話しが重なるかもしれませんが、人材育成で心がけている点は?

  •  基本的にオーナー会社ですから、鶴の一声でああしなさい、こうしなさい、という話はできますが、極力、それをしないようにしています。トップダウンではなく、ボトムアップにしている。個人個人は誇りをもつ技術者であり、彼らに会社への帰属意識を持たせ、会社をもり立てようという気持ちを持ってもらうには、ある程度の権限委譲をしておかないとだめでしょう。

━━━斉藤さんが辞めたような会社の雰囲気しないことも大切ですね。

  • 確かに。だから社員のすべてを公平にみているよ、ということをちゃんと言っておかないと。えこひいきをすると、空気も悪くなるし、モチベーションも下がるだろうし、嫌な思いもするだろうし。

━━━最後に、今後の夢を。

  • 土木コンサルタントとしての本業は、設計なんですね。そのへんをもっと拡充してきたい。それなりの人材はいるけど、国交省や役所に、元請けとして取りにいける体制ができていないので、それを作り上げて、いまの若い子たちに会社をバトンタッチしてあげるのが僕の最後の夢です。

━━━忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(2016年9月27日取材)

<取材・文/竹内明久(高22期)>