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垂直のオアシス

壁面植木鉢のビルの出現に驚く

 最初に「オーガニックビル」を発見したのは、残念ながら雑誌で、だった。現物といきなり出会った方が衝撃度は大きかったはずだが、今さら仕方ない。雑誌の写真でも僕の目はその建物に釘付けになった。さっそくその建物を見るためにデジカメをもって南船場に出かけた。

 遠くからでもそのオリジナリティの高さは、際立っていた。ビルの壁面から植木鉢が飛び出している。それも横に22列、縦に6段だから、合計132個。圧倒的な迫力だ。132個の植木鉢には、世界中から集めた植物が132種類入っている。壁面に作られた世界植物博覧会だ。

 屋上庭園はあるけど、これだけ大規模な壁面植木鉢は初めてだと思う。マンションなんかとベランダに花が飾ってあることはあるけど、ビジネスビルで、この発想はすごい。屋上庭園は、道を歩く人は見ることはできないけど、壁面は誰の目にもとまる。緑のオアシスが、みんなに開放されているって感じで、人々の心も潤うはずだ。

建物の外観は、半公共的なものだと思う

 建築物の内側は自分のものでも、外観は半公共的なもので、実は、みんなのものでもある。あるイタリア人が、「日本のほとんどのビルは、単なる箱だ」と指摘していたが、半分当たっていると思う。

 すぐれた建築デザインは、人々の感性に素晴らしい影響を与えるものだ。オーガニックビルを見たとき、ガウディの建築を想い出した。バルセロナ市内に建つカサ・ミラや、カサ・バトリョは、街の風景に溶け込みながらも、そこだけ生命を宿して息づいているような不思議な感じを与えていた。オーガニックビルもまた、大阪の街中にあって、自然との共生というテーマを、明確に主張していた。

デザイナーはベネチア出身。納得!

 デザイナーは残念ながら日本人ではなく、ベネチア出身で、ニューヨーク在住のアーティスト、ガエタノ・ペッシェ氏だと知る。ベニチア大学で建築と工業デザインを学んだ人物だ。ため息をつくしかない人類の奇跡的な風景を現出したベニチアの風景の中で育った人物なら、こんなデザインもありだと、勝手に合点した。
 竣工が1993年。ということは、すでに17年もたっている。1994年に通産省のグッドデザイン賞を受賞しているが、それ以上の価値があると思う。このビルは、小倉屋山本の本社ビルで、4代目社長が面白いものをつくろうということでつくったみたいだけど、その勇気を賞賛したい。このビルのテナントには、建築家やデザイナーたちが多く入居しているらしい。こんなビルで仕事をできる連中が羨ましいね。