鉄人28号のいる風景

鉄人28号.jpg

鉄人28号のいる風景

日本初の巨大ロボット。奈良の大仏より大きいぞ!

 2009年9月29日に鉄人28号が、JR新長田駅の近くにある若松公園に誕生して以来、すでに地元の新聞テレビで何度も紹介されてきた。それを見るたびに、ワクワクしてしまう自分に気づく。そしてようやく11月3日に見に行った。

 近づくと、すでに多くの見物客が鉄人28号を見上げ、写真を撮っていた。「よくできてるな。ほんまもん、そっくりや」と呟く。しかしほんまもんは、漫画の中のフィクションなのだから、実在するわけではない。それでもできがいいから、ほんまもんにしかみえない。奇妙な感じがする。

 実在のモデルをもとにフィクションとしてのキャラクターが生まれることはよくあるが、こうした逆転現象もないわけでない。一番有名なのがシャーロック・ホームズだろう。ロンドンのベーカーストリートには、ホームズ博物館があり、小説に描かれた通りの部屋が再現され、多くのホームズファンが全世界から訪れる。ライバルであるアルセーヌ・ルパンも同じことらしい。

 誕生した鉄人28号が足を広げて立つ高さは15.3m(身長18mだが、足をひろげているために少し低くなっている)。奈良の大仏さんの高さは14.7mだから、大仏さんより60cmほど高い(大仏さんが立ったら、大仏さんの方が高いやないかと、漫才師ならツッコミをいれるところが‥)。そして重さ50トン。堂々たるものだ。日本初の巨大ロボットと言われている。それが阪神大震災で打撃を受けた長田地区の復興に一役買うために誕生した。

強いが脆い。そんな鉄人にワクワクした少年時代

 実は鉄人28号は、少年時代に最も熱中した漫画の一つだった。私は人間に似せて作られた可愛い鉄腕アトムよりも、でかくて愚直、操縦器を奪われると逆に敵になってしまう危うい存在の鉄人28号が好きだった。

 それは足腰が柔軟でどんな相手にも勝ってしまう大横綱の大鵬よりも、爆発的な破壊力を備え、勝つときは圧倒的な強さを誇るが、負けるときは、えっと思うくらい簡単に負けてしまうライバルの柏戸剛の方が好きだったのと同じかもしれない。安心して見ていられる鉄腕アトムや大鵬よりも、負けるリスクとスリルの度合いが高い鉄人28号と柏戸の方に、なぜか強く惹かれるのだった。

長田の復興に活躍してほしい

 鉄人28号は実は第2次世界大戦中に、日本軍の秘密兵器として開発した巨大ロボットだが戦争中は完成せずに、戦後に登場したときは悪役で、いったん破壊されたものの、少年ファンが正義の味方にしてほしいという要望があり、破壊されたロボットは鉄人27号で、新たに鉄人28号が誕生することになったらしい。

 横山光輝原作の鉄人28号が雑誌「少年」に登場したのは昭和31年。日本が太平洋戦争敗戦後11年目のことだった。すでに経済復興を遂げ、高度成長への道を着実に歩んでいた。そんなとき、ガオーと雄叫びをあげて活躍する鉄人は、日本の勢いを象徴する存在でもあった。その鉄人が長田に登場したのは、阪神・淡路大震災後の14年目にあたる。

 まだ、足場の整備が済んでいなため、工事用のフェンスで囲まれており、真下まで近づくことができない。それと陽が傾きけており、撮影しようとすると逆光になってしまう。残念だ。後日、完全に完全に完成してから、改めて撮影にこよう、鉄人にと固く誓ったのだった。


その後、11月25日には、足場の整備も終了。写真は整備後のものです。